『いのくまさん』(絵:猪熊弦一郎、文:谷川俊太郎、構成:杉浦範茂)、小学館発行、2006年

猪熊弦一郎展 いのくまさん

Genichiro Inokuma: Inokuma-san

2025年4月12日(土)-7月6日(日)
休館日:月曜日(ただし5月5日は開館)、5月7日(火)

開館時間

10:00-18:00(入館は17:30まで)

主催

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団

料金

一般 300円(240円)、大学生 200円(160円)、高校生以下または18歳未満・丸亀市民・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
*( )内は20名以上の団体料金(企画展料金は別途)

画家の猪熊弦一郎(1902-1993)を、詩人の谷川俊太郎(1931-2024)が紹介する絵本『いのくまさん』(小学館、2006)。本展では、この絵本につづられた谷川のことばとともに、猪熊の絵画作品をご紹介いたします。
本書は、子どもに猪熊を紹介したいと、当美術館が谷川さんに依頼してできたものです。遠足で子どもたちが美術館に来たときに、みんなで楽しく作品を観てまわるのと同じような体験ができる、子ども向けの本をつくりたい、と段ボール一箱分の資料を送って谷川さんにお願いしました。一週間後、編集者の市河紀子さんから、谷川さんが受けようと思うとおっしゃっていると連絡をもらい、さらに二週間がたったころ、今度は谷川さんご本人から電話があって、ひとつだけ質問を受けました。これから文章を考えるのかなあと、のんきに構えていたら、なんと翌日、市河さんのところに構成試案が届いたのです。2004年のクリスマスのことでした。
谷川さんの試案には、絵本の見開き順にことばと絵の構成が記されていました。

こどものころからえがすきだったいのくまさん おもしろいえをいっぱいかいた
(幼年時代と老齢になってからのアトリエでの写真・子ども時代の絵などコラージュ)

それは、253文字のひらがなでつづられた、楽しくて美しい詩でした。そして、みごとに猪熊の全体像があらわされていたのです。出版当時、「この絵本をおもいっきり自慢してください」と谷川さんにお願いしたら、次のような回答がきました。*

こんな絵本はMoMAにだって作れないだろう!

本書が出版されてから、猪熊弦一郎は「いのくまさん」と親しみをこめて呼ばれるようになりました。ごく自然に広まったので、ずっと昔からそう呼ばれていたように思われていますが、実はこれ、谷川さんがつけたニックネームなのです。
2007年の当館を皮切りに、この絵本をもとにした「いのくまさん」展が全国各地でこれまで8回開催されました。谷川さんのことばを通して、今も多くの子どもたちが猪熊の絵に出会っています。

*『MIMOCA NEWS 014』(財団法人ミモカ美術振興財団、2006)

1. 猪熊弦一郎《自画像》1925年
2. 猪熊弦一郎《顔20》1989年
3. 猪熊弦一郎《鳥達の遊び》1993年
4. 猪熊弦一郎《題名不明》年代不明
5. 猪熊弦一郎《ロボットの休日》1984年
6. 『いのくまさん』(絵:猪熊弦一郎、文:谷川俊太郎、構成:杉浦範茂)、小学館発行、2006年

すべて丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©公益財団法人ミモカ美術振興財団

展示室B

1.《題名不明》1917年、水彩, 鉛筆・紙、 23.8×31.0
2.《自画像》1925年、油彩・カンヴァス、37.8×37.8
3.《横顔》1992年、陶板、45.2×37.0
4.《レゼジーの少年》1939年、油彩・カンヴァス、27.4×22.1
5.《顔》1938年、油彩・カンヴァス、41.0×33.0
6.《顔》1952年、油彩・カンヴァス、27.0×21.9
7.《顔》1951年、油彩・カンヴァス、蔭山昭二郎氏寄贈、26.8×22.0
8.《題名不明》『新女苑』第11巻第4号表紙絵原画、1947年頃、油彩・カンヴァス、磯部(桃井)双葉氏寄贈、32.5×24.5
9.《題名不明》『新女苑』第11巻第8号表紙絵原画、1947年頃、油彩・カンヴァス、磯部(桃井)双葉氏寄贈、33.3 ×24.3
10.《顔20》1989年、アクリル・カンヴァス、127.0×96.3
11.《カガシと鳥の対話》1993年、アクリル・カンヴァス、126.2×95.8
12.《顔20D》1989年、アクリル・カンヴァス、126.0×90.8
13.《顔20B》1989年、アクリル・カンヴァス、127.1×96.4
14.《鳥と遊ぶ子供達》1954年、油彩・カンヴァス、193.5×130.0
15.《鳥達の遊び》1993年、アクリル・カンヴァス、151.9×122.0
16.《題名不明》年代不明、油彩・カンヴァス、45.5×53.0
17.《題名不明》年代不明、油彩・カンヴァス、31.7×41.0
18.《題名不明》1954年頃、油彩・カンヴァス、24.0×33.2
19.《猫によせる歌》1952年、油彩・カンヴァス、181.5×259.0
20.《猫と食卓》1952年、油彩・カンヴァス、73.0× 61.0
21.《猫達》1953年、油彩・カンヴァス、45.5×53.3
22.《The City (Green No.1)》1968年、アクリル・カンヴァス、203.5×178.0
23.《銀河の門 No.2》1986年、アクリル・カンヴァス、136.0×122.0
24.《明るい遊歩》1983年、アクリル・カンヴァス、136.0×121.5
25.《ロボットの休日》1984年、アクリル・カンヴァス、136.5×121.5
26.《星に生きているスペース》1983年、アクリル・カンヴァス、136.0×121.5
27.《窓と星座》1985年、アクリル・カンヴァス、194.0×258.8

Page Top